君の話 / 三秋縋 を読んで
昨日の深夜にブログの開設をしていたせいで1日中眠かったβです。眠くて暑い中の草むしりは世界を呪うレベルのきつさでした。
さてはて、今回語りたいのは三秋縋先生の小説、「君の話」です。
三秋縋先生は自分がまだ中学生の頃に、某掲示板にお話を掲載し、それをまとめたものを自分のサイトにあげている方でした。
三秋先生の話は、儚く、救われずに救われていく。マイナスをゼロにしていく幸せ。得られなかった何かを探していく情動等、心にくる作品が多く、デビュー前から今現在も一番好きな作家さんです。
デビューさてからの作品を全て初版で持っているのが自慢なのですが、半分くらい友達に貸して返ってきてません。返してください。
そんな大好きな三秋先生の大判の小説が今年の7月に出ました。ずっと感想を書きたかったです。
ここから感想です。内容にはあまり触れませんが、ネタバレもあると思います。
まず最初に読み終えた感想は、三秋先生の作品の中では伝えたい事がはっきりとしているな、と感じました。
人にはそれぞれ運命の相手が存在し、満たされていないと感じる人はその出会いを見過ごしているんだ。
そんな風に感じる内容でした。
運命の二人は出会う前から出会っていて、分かり合わずに分かっていて、始まらずに終わって行きます。
ヒーローは、何も持たず、持っていなかったという過去さえも捨てようとしていました。
ヒロインは、救いの無い過去が新型のアルツハイマーによって消えていく中、偽物の過去を作る仕事をしていました。
二人は出会わず、分かり合えず、始まらずに終わって行きましたが、間違いなく運命によって結ばれていた二人でした。
読み終えた後に自分の半生を振り返るとあれが運命だったのかもしれないなと思う人がいました。自分はそれを逃しましたが。
この世に生まれてきた意味は運命に出会う事で、そんな馬鹿みたいな奇跡を信じて行動しようと思うようになる本でした。